イクメンが求められる時代の、新たな父親像とは?

■イクメンが求められる時代の新たな父親像とは?

2011年10月に娘が生まれて早5ヶ月。
どうにかこうにか健康に育ち、最近は夜泣きならぬ未明泣きや、夜の寝かしつけは「ママじゃなきゃヤダ泣き」に悩まされております。
この間、父親として、夫として、ベンチャー企業の代表として、妻、娘、仕事に向き合う中で、日々悩み、喜び、拗ねたり、楽しんだりしてきました。
たかだか5ヶ月ではありますが、毎日の経験を重ねる上で考えるのは、自分は父親として今後どのように生きていけばいいかという事です。

2010年に「イクメン」が流行語にノミネートされて以降、父親の育児参加や関心が高まっています。
この傾向は、所得格差の拡大、核家族化、共働き世帯の増加など、育児環境の悪化に伴い、父親に求められる役割が大きく変化している事から、今後ますます強まりそうです。

イクメンとは 「子育てを楽しみ、自分自身も成長する」「育児を楽しめるカッコイイ男」等の定義があり、世間一般的にも「家事も育児もスマートにこなす」というイメージを持たれているようです。
しかし、これまで母親が良妻賢母などの「理想の母親像」を求め(求められ)、悩んできたことから、父親も同様に、「理想のイクメン像」に戸惑い、焦っているということは考えられないでしょうか?

そこで、夫はもちろん、妻や子供に対してアンケート調査を実施、分析することで、様々な価値観をもつ人々が、シアワセな育児生活を送るための、多様な父親像を提示したい。
そんな思いから、「これからの父親像 調査プロジェクト」を立ち上げました。
(URL:http://kodomonogatari.com/project/


 




 ■妻の育児日誌が、(楽しくも)つらかった出産後すぐの夫婦をつないだ

このプロジェクトを立ち上げるに至ったのは、妻とのコミュニケーションについて考えた事がキッカケでした。

我が家は妻が産後、娘と実家に帰省したため、妻子と1ヶ月ほど離れて暮らしました。
平日は娘に会いたい気持ちをグッとこらえ、土日に会いに行くと、娘はたいていグッスリ寝ているか、おっぱいを飲んでいます。娘の顔を横目に、私が手に取るのは、妻が毎日書いている育児日誌。


 それを読むと妻の悩み、焦り、喜びといった心の動きが、手に取るようにわかり、そのおかげで、
悩みを共有したり、娘について会話をしたり、ハッスルしたりして育児家事することができました。
それは一緒に暮らすようになった今も変わらず、私が遅く帰った時、妻が早く寝ている時、
それを読むことで夫婦のコミュニケーションが取れているように思います。

育児、仕事、家事に忙しいからこそ、夫婦のコミュニケーションの大切さを感じていた頃、
ふと目にした新聞記事にショックを受けました。




■メーンが焼きじゃけで何が悪い!

私が目にしたのは、2012年1月25日の朝日新聞、『産後の夫婦、愛情保つには』という記事です。


私自身は夕食に焼きじゃけが出ても美味しく頂きますが、こちらのご主人は、
「焼きじゃけは朝食べるもので手軽に作れるというイメージがあり、それを何故夕食で食べなければいけないのだ?」と思ったことから、このような発言をしたのだと思いますが、実際一日子どもと過ごしていると、手の込んだ料理などはなかなか作ることができません。

2010年に「イクメン」が流行語大賞にノミネートされ、厚生労働省による「イクメンプロジェクト」が始まり、イクメンを名乗る父親が増えた昨今、今なお残るこのような偏見。

この記事に私は育児中の父として憤慨しましたが、それ以上に穏やかでいられなかったのは、一歩間違えば私も同じ事を言っていたのではと想像できたからです。

私は、自身の経験から、「夫婦間のコミュニケーション不足」や「夫婦間の子供に関する情報格差」に問題があるのではと考えましたが、
加えて、現代社会で夫が置かれている状況や、夫の育児に対する価値観やスタイルを知ることで、この問題の解決に一石を投じることができるのではないかと考え、今回の調査プロジェクトを立ち上げる事にしたのです。

■調査を通じて見えてきた6つのイクメンタイプ


今回の調査では「育児参加意識」「育児協力実態」「家事協力実態」といった3つの指標でイクメンを6つのタイプに分類し、それぞれの特徴をまとめました。
http://kodomonogatari.com/project/





■大切なのは夫婦間の価値観のマッチングでは?


各タイプの詳しい紹介は、こちらの調査結果ページ(http://kodomonogatari.com/project/)に譲るとして、この調査を通じて私が感じたことは、
どのイクメンタイプが良い・悪い、という事ではなく、
個人の価値観や労働環境などによって、それぞれの育児スタイルがあるという事です。
仕事優先型イクメンは、現在の仕事も育児も家事もしっかりこなして欲しいというイクメンブームにおいては女性から最も拒否されるタイプかも知れませんが、
「妻は主婦として家庭に入って家事、育児をこなし、夫にはしっかり仕事をしてきて欲しい」という価値観の女性にとっては、最適なパートナーなのではないでしょうか?
同様に、「部屋の中で家事を手伝ってくれるより、外に連れ出して遊んで欲しい」という課題を持つ妻にとっては、ともだち型イクメンが良きパートナーになりそうです。


本調査を踏まえ、今後は妻や子どもからのアンケート調査を実施、分析することで、
様々な価値観をもつ人々が、シアワセな育児生活を送るための、多様な父親像を提示して参ります。


※iPhoneアプリ『コドモノガタリ』は、2012年11月30日にサービス終了しました。ご愛用ありがとうございました。 
今後も「写真」「子育て」をテーマにしたサービス開発を行って参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

このブログの人気の投稿

オラリティとリテラシー。~子どもが世界を知る二つの経路

著者が解説『プ譜』とは何か?概要とテンプレートを紹介します(動画あり)

高崎線の四人ボックス席で帰るプロジェクト 後編