赤ちゃんにおもちゃを与えるタイミングと考え方

「子どもには早いうちから英語教育を」とか、「クラシックを多く聞かせて情緒豊かに」とか、
子どもに与えるべき経験について考えるのは、5ヶ月の娘にはまだまだ早いと思っていたのですが、
「赤ちゃん(新生児、乳児)に、いつ、どんなおもちゃを与えればいいのだろう?」という事を考えさせられた出来事がありました。

■お気に入りのおもちゃを赤ちゃんに与えると、めちゃくちゃ楽だ!


赤ちゃんは1つのおもちゃを気に入ると、ひたすら握って触ってペロペロ舐めてくれているので、
赤ちゃんを傍らに寝かせて仕事をしたり、アイロンがけなど家事をする時にとっても助かります。
私の娘が手でモノをつかめるようになってすぐのお気に入りは「オーボール」でした。



写真のとおり、細いプラスチックで編んだ形状をしているので、握力の弱い時期でも持ちやすいです。で、うちの娘はそれをペロペロなめては、ハッカでも舐めたかのように「ヒェ~」と言うのを繰り返していました。

でも、その期間は長続きしません。
1~2週間もするとオーボールを持たせても、すぐにポロッと落としたり、目の前に持って見せても取ろうともしないのです。
そこで、他の手で持てそうな取っ手の細いガラガラを持たせたりすると、またしばらくはひたすら使い続けてくれます。
お気に入りのおもちゃを与えているうちは、本当に静かで手がかからないものですから、とにかく気に入るおもちゃさえ与えておけばいい、というような気持ちでいました。


■育児とは観察することと見つけたり

ちょうどその頃、娘が気に入っていたもう1つのおもちゃ(と言っていいのかな?)が「メリー」です。
このメリーは床置きにしたり、ジムにしたりして形状を変えられるため、成長にあわせて長く使えるのが特徴です。
当時、娘は寝ながら両手を宙に上げておもちゃを受け取ろうとするようになったため、ベビージム形状にして、吊り下げたラトルで遊べるようにしてありました。


ある日、妻からパンツに入れるようなゴムを買ってきてと頼まれたので退社後買って帰ると、ラトルを吊り下げているマジックテープを、ゴムに付け替え始めたのです。



妻に理由を聞くと、

「(娘が)ラトルに手をかけてグイグイ引っ張るのだけど、同時になめなめもしたいので
ゴムに付け替えることでラトルを引っ張りながらなめられるようにしたかった」 そうなのです。


・・・私は反省しました。



「おもちゃを与えときゃ、静かで楽でええわ」

と思っていた自分が恥ずかしい。。



と同時に、こうした発見ができる妻に感謝しました。

いつぞや私は「育児とは観察することと見つけたり」というツイートをしの事があるのですが、
この出来事は観察していなければ気づけなかったことではないかと、
あらためて「オレ、いいツイートしたな」と自賛して、楽さにかまけて観察していないことを自省しました。


■子どもがあるステイタス(発達段階)の時にある刺激を受けると、ステイタスが1から2に変わる。

このメリー事件におけるもう1つのポイントは、ラトルを吊り下げるテープを単に長いヒモにするのではなく、
伸び縮みするゴムにしたという事です。

長いヒモにした場合、なるほど娘はお気に入りのラトルを、楽にいつまでもなめなめできるでしょう。
しかし、それをゴムにしたことで、妻は娘にちょっとした試練を与えたのです。

おぉ、これぞ「母獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす」行い。


スイスの発達心理学者ジャン・ピアジェによると、
子どもがあるステイタス(発達段階)の時にある刺激を受けると、
ステイタスが1から2に変わる。
ステイタスが変わると、以前意味があった刺激に意味がなくなり、
今まで意味がなかった刺激が意味を持ち、
その新しい刺激を受けて今度はステイタスが2から3に上がるそうです。


この考えを強引に今回の一件に当てはめると、
長いヒモにしていた場合、それは娘にとっての刺激にはなり得なかったのではないかと思うのです。
(妻は保育士ですが、後日このピアジェ理論について話すと知らなかったそうです)


こうした観察は、子どもと長時間いっしょに居ればいいという事ではなく、
子どもにとって、その時なにが大切なのかという視点を持たなければ意味がないのだと思いました。
(父ちゃん、がんばるよ!)


ちなみに、娘は今日も妻の腕力養成メリーで、トレーニングに励んでいます。



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