5年後、メディアは稼げたか?webメディア マネタイズ勉強会 レポート
2017年12月11日に、ドコモイノベーションビレッジで、webメディアのマネタイズ勉強会を開催しました。
2013年に『5年後、メディアは稼げるか?』が刊行され、先行するアメリカのメディアの稼ぎ方や今後の予測が提示されて以降、わずか数年の間にwebメディアの世界では様々な出来事が起こりました。
ニュースキュレーションアプリの台頭、バイラルメディアが大流行し、分散型メディアやECサイトのメディア化などに注目が集まりました。
DSP、DMPなどアドテクの高度化が進む一方、広告に頼らないマイクロペイメントやメンバーシップ制度など、新たなマネタイズ手法にチャレンジするメディアも現れてきました。
また、コンテンツマーケティングとオウンドメディアに取り組む企業が増えたことを背景に、ネイティブ広告に取り組む媒体も増えつつあります。
本勉強会ではこうしたwebメディア業界のここ数年の変遷を顧みつつ、国内で数多くのパブリッシャーを支援するシーセンス(株)江川氏をゲストに迎え、2018年に向けた「webメディアのマネタイズに必要な考え方と成功事例」をご紹介頂きました。
この勉強会を開催するにあたり、まず、2013年の『5年後、メディアは稼げるか?』刊行から2017年まで、日米のメディア業界で起きた概況を年表にしてみました。
こうして概観してみると、色々なマネタイズや表現方法にチャレンジしてきた様子や、この時期にクラウドソーシングで記事の大量発注があったんだなぁといったことがわかります。
広告に頼らないマネタイズ手段を見てみると、限定Facebookグループや週一回の電話会議への参加権などが得られる有料メンバーシッププログラムや、議会を通過する法案の進捗状況を追跡する有料商品をサブスクリプションで提供するなど、BtoB向けのサブスクリプションサービスのプロマネをしている身としても、大変参考になります。
自分たちのメディアが培ってきた読者や広告主、対象となる業界や分野におけるプレゼンスなどを元に、様々なビジネスモデルを考えることは、とてもワクワクしてきますが、メディアに身を置く方にとってはどうなんでしょうか?
これまで、CPMであってもCPCであっても、広告を数多く表示させるため、おやりになってきたことが色々あると存じます。
記事の分割表示、そのテーマに関係する読者を煽ったりざわつかせたりするタイトルづけ。「続きを読む」を書いてあるのに、ログインして続きを読むと「続き」のページにはいかず、今読み終わった記事がまた表示される仕様。記事を量産するための恐ろしくテンプレ化された作業の進め方。誤クリックを誘導させるかのようなバナー広告のフォーマット。
はい、PCと比べて限られたスマホの面積で、どうにか表示させたいという気持ちはわかるのですけど…。
ちなみに、ここでどんなスマホバナー広告フォーマットがあるのかを、ジョジョの奇妙な冒険のスタンド風の名前をつけてご紹介したいと思います。
(※正式名称は知りませんのと、メディアや広告掲載企業に対して悪意はありませんのでご了承下さい)
Hammerhead
上からドーンと落ちてくるヤツ。
The Ghost
フッターの方からぼわぁ~っと出てくるヤツ。
Rundown play
上と下から挟み撃ち。
The Ghost & Rundown play
上下挟み撃ちとザ・ゴーストのコンビネーション。
little feet
すみっこに慎ましくいるよ、的な。
Pitfall
これはPCですね。ページを見ていたら真ん中からぐわーっと開いてくるヤツ。
Waterfall climbing carp
フッターに「あ、バナー出てる」と思ったのもつかの間、スクロールしていくと
どんどんバナーが全画面表示されて上に消えていく斬新なフォーマット。
直訳すると、「鯉の滝登り」であります。
冗談はさておき、こうした広告フォーマットは、とにかく読者に広告を見せればいいんだという、
読者軽視の行為のように思えますが、どうなんでしょうか?
今回、ゲストとして登壇頂いたシーセンス江川氏からは、そうしたメディアの未来は厳しいという見解とそうならないための取り組み事例がが紹介されましたので、以下メモを。
●デジタルシフトによるトレンド
1.パブリッシャーはよりデジタルマーケッターとしての意識が必要となる。
・サイトにおけるコンバージョン(有償会員化やアクション情報の収集)の向上や
イーコマース事業などの展開が必要となる。
・ロイヤルカスタマーやエンゲージメントの高いオーディエンスの確保
2.マーケッターはよりデジタルパブリッシャーとしての意識が必要となる。
・より高いエンゲージメントやロイヤリティを確保するためにコンテンツを保持する必要がある。
・上質なユーザーエクスペリエンスを提供するためには、すぐにアクション可能なデータを保持する必要がある。
●データを活用すること(DMPを利用する)で実現できること
・エンゲージメントの向上(パーソナライゼーション)
・コンバージョン向上(コンバージョン オプティマイゼーション)
・広告価値、収益の向上(DMP・インサイト)
●パブリッシャーにとって重要な事は
・広告の在庫率を最大化させることではなく、レベニューを最大化させることが重要
・プレミアムパブリッシャーとして目指すべき姿は、より良い効果を広告主にもたらす
ことができる独自のサービスを提供できるようになることである。
・Programmaticと純広告の競合は発生する
・Programmaticにおける管理やオペレーションといった運用に時間を割くのではなく、
営業活動に専念することが必要となる
・メディアとしての特性を活かす
(フォーマット、ビューアビリティ、ファストビューインプレッション、オーディエンスデータとの連携)
・エンゲージメントの高いユーザーの確保
・広告主へのメディアとしての価値提供
・Anonymous userから membershipへ
●デジタルマーケッターとしてエンゲージメントの高いオーディエンスを獲得するためのステップ
1.ユーザーの理解
すべてのトラフィックを取得し、それぞれのユーザーのプロファイルを生成
2.エンゲージメントの向上
ユーザの関心や興味に合わせたコンテンツや広告やプロモーションを配信。ファン層の創出。
3.コンバージョン
会員登録や商品・サービスの購入をファン層に対して提案(効果的なキャンペーンの実施)
4.ロイヤリティの維持
既存会員、VIP層に向けたコンテンツやサービス、メールの配信
こうした考え方や取組のステップの結果、どのような成功事例があるかは、ぜひシーセンス社に問い合わせて下さい。
先日、『おまえは今まで開封したメールの本数をおぼえているのか?』という記事を書いたのですが、ユーザー理解やエンゲージメントが進めば、下手なメール数打ちゃ当たるも減るでしょうし、せっかく取得したメールアドレスに、読者の関心の高い記事をランキング形式や、読者の関心の高いキーワードが入った記事を集めて、キーワードをメールの件名に入れて配信すれば、結果的に広告の表示回数も上がるのだと思います。
メディアという狭い業界に捉われず、目を外に向ければ、著名人のサロンビジネスやコミュニティ・マネジメントからは、読者のエンゲージメントを高める施策のヒントを大いに得られると思います。
また、近年注目されているネイティブ広告についても、テレビに目を向けると、一社提供型で連載タイプの「ミニ番組」からも動画を使ったネイティブ広告のヒントがあると思われます。
ちなみに、私は現在、1Rollという動画制作ツールのプロマネをしておりますが、このツールを使用した「ネイティブアド ウガ」の企画制作について、一緒に取り組んで頂けるパブリッシャーの方々を募集しております。
ご興味を持って頂ければ、ぜひコンタクト下さい。
2013年に『5年後、メディアは稼げるか?』が刊行され、先行するアメリカのメディアの稼ぎ方や今後の予測が提示されて以降、わずか数年の間にwebメディアの世界では様々な出来事が起こりました。
ニュースキュレーションアプリの台頭、バイラルメディアが大流行し、分散型メディアやECサイトのメディア化などに注目が集まりました。
DSP、DMPなどアドテクの高度化が進む一方、広告に頼らないマイクロペイメントやメンバーシップ制度など、新たなマネタイズ手法にチャレンジするメディアも現れてきました。
また、コンテンツマーケティングとオウンドメディアに取り組む企業が増えたことを背景に、ネイティブ広告に取り組む媒体も増えつつあります。
本勉強会ではこうしたwebメディア業界のここ数年の変遷を顧みつつ、国内で数多くのパブリッシャーを支援するシーセンス(株)江川氏をゲストに迎え、2018年に向けた「webメディアのマネタイズに必要な考え方と成功事例」をご紹介頂きました。
この勉強会を開催するにあたり、まず、2013年の『5年後、メディアは稼げるか?』刊行から2017年まで、日米のメディア業界で起きた概況を年表にしてみました。
※クリックして拡大表示してご覧下さい |
こうして概観してみると、色々なマネタイズや表現方法にチャレンジしてきた様子や、この時期にクラウドソーシングで記事の大量発注があったんだなぁといったことがわかります。
広告に頼らないマネタイズ手段を見てみると、限定Facebookグループや週一回の電話会議への参加権などが得られる有料メンバーシッププログラムや、議会を通過する法案の進捗状況を追跡する有料商品をサブスクリプションで提供するなど、BtoB向けのサブスクリプションサービスのプロマネをしている身としても、大変参考になります。
自分たちのメディアが培ってきた読者や広告主、対象となる業界や分野におけるプレゼンスなどを元に、様々なビジネスモデルを考えることは、とてもワクワクしてきますが、メディアに身を置く方にとってはどうなんでしょうか?
これまで、CPMであってもCPCであっても、広告を数多く表示させるため、おやりになってきたことが色々あると存じます。
記事の分割表示、そのテーマに関係する読者を煽ったりざわつかせたりするタイトルづけ。「続きを読む」を書いてあるのに、ログインして続きを読むと「続き」のページにはいかず、今読み終わった記事がまた表示される仕様。記事を量産するための恐ろしくテンプレ化された作業の進め方。誤クリックを誘導させるかのようなバナー広告のフォーマット。
はい、PCと比べて限られたスマホの面積で、どうにか表示させたいという気持ちはわかるのですけど…。
ちなみに、ここでどんなスマホバナー広告フォーマットがあるのかを、ジョジョの奇妙な冒険のスタンド風の名前をつけてご紹介したいと思います。
(※正式名称は知りませんのと、メディアや広告掲載企業に対して悪意はありませんのでご了承下さい)
Hammerhead
上からドーンと落ちてくるヤツ。
The Ghost
フッターの方からぼわぁ~っと出てくるヤツ。
Rundown play
上と下から挟み撃ち。
The Ghost & Rundown play
上下挟み撃ちとザ・ゴーストのコンビネーション。
little feet
すみっこに慎ましくいるよ、的な。
Pitfall
これはPCですね。ページを見ていたら真ん中からぐわーっと開いてくるヤツ。
Waterfall climbing carp
フッターに「あ、バナー出てる」と思ったのもつかの間、スクロールしていくと
どんどんバナーが全画面表示されて上に消えていく斬新なフォーマット。
直訳すると、「鯉の滝登り」であります。
冗談はさておき、こうした広告フォーマットは、とにかく読者に広告を見せればいいんだという、
読者軽視の行為のように思えますが、どうなんでしょうか?
今回、ゲストとして登壇頂いたシーセンス江川氏からは、そうしたメディアの未来は厳しいという見解とそうならないための取り組み事例がが紹介されましたので、以下メモを。
●デジタルシフトによるトレンド
1.パブリッシャーはよりデジタルマーケッターとしての意識が必要となる。
・サイトにおけるコンバージョン(有償会員化やアクション情報の収集)の向上や
イーコマース事業などの展開が必要となる。
・ロイヤルカスタマーやエンゲージメントの高いオーディエンスの確保
2.マーケッターはよりデジタルパブリッシャーとしての意識が必要となる。
・より高いエンゲージメントやロイヤリティを確保するためにコンテンツを保持する必要がある。
・上質なユーザーエクスペリエンスを提供するためには、すぐにアクション可能なデータを保持する必要がある。
●データを活用すること(DMPを利用する)で実現できること
・エンゲージメントの向上(パーソナライゼーション)
・コンバージョン向上(コンバージョン オプティマイゼーション)
・広告価値、収益の向上(DMP・インサイト)
●パブリッシャーにとって重要な事は
・広告の在庫率を最大化させることではなく、レベニューを最大化させることが重要
・プレミアムパブリッシャーとして目指すべき姿は、より良い効果を広告主にもたらす
ことができる独自のサービスを提供できるようになることである。
・Programmaticと純広告の競合は発生する
・Programmaticにおける管理やオペレーションといった運用に時間を割くのではなく、
営業活動に専念することが必要となる
・メディアとしての特性を活かす
(フォーマット、ビューアビリティ、ファストビューインプレッション、オーディエンスデータとの連携)
・エンゲージメントの高いユーザーの確保
・広告主へのメディアとしての価値提供
・Anonymous userから membershipへ
●デジタルマーケッターとしてエンゲージメントの高いオーディエンスを獲得するためのステップ
1.ユーザーの理解
すべてのトラフィックを取得し、それぞれのユーザーのプロファイルを生成
2.エンゲージメントの向上
ユーザの関心や興味に合わせたコンテンツや広告やプロモーションを配信。ファン層の創出。
3.コンバージョン
会員登録や商品・サービスの購入をファン層に対して提案(効果的なキャンペーンの実施)
4.ロイヤリティの維持
既存会員、VIP層に向けたコンテンツやサービス、メールの配信
こうした考え方や取組のステップの結果、どのような成功事例があるかは、ぜひシーセンス社に問い合わせて下さい。
先日、『おまえは今まで開封したメールの本数をおぼえているのか?』という記事を書いたのですが、ユーザー理解やエンゲージメントが進めば、下手なメール数打ちゃ当たるも減るでしょうし、せっかく取得したメールアドレスに、読者の関心の高い記事をランキング形式や、読者の関心の高いキーワードが入った記事を集めて、キーワードをメールの件名に入れて配信すれば、結果的に広告の表示回数も上がるのだと思います。
メディアという狭い業界に捉われず、目を外に向ければ、著名人のサロンビジネスやコミュニティ・マネジメントからは、読者のエンゲージメントを高める施策のヒントを大いに得られると思います。
また、近年注目されているネイティブ広告についても、テレビに目を向けると、一社提供型で連載タイプの「ミニ番組」からも動画を使ったネイティブ広告のヒントがあると思われます。
ちなみに、私は現在、1Rollという動画制作ツールのプロマネをしておりますが、このツールを使用した「ネイティブアド ウガ」の企画制作について、一緒に取り組んで頂けるパブリッシャーの方々を募集しております。
ご興味を持って頂ければ、ぜひコンタクト下さい。